とりてんブログ

スタートアップで経営企画として事業提携などを担当しています。自分が読んで気に入った本・漫画の共有や国内スタートアップの分析、投資に関して書いていきたいと思います。

上場企業(スタートアップ)の監査報酬を調べたよ

調べようと思ったきっかけ

自分がIPO関連の業務を監査法人で長くやってから、スタートアップに転職してから、監査報酬について感覚ベースで議論していたので、一度調べてみました。

 

わが国監査報酬の実態と課題

わが国監査報酬の実態と課題

 

 

調べた結果

自分の過去の感覚のn-2期:4M、n-1期:8M、n期:12Mからかなりかけ離れていて、しかも監査法人ごとに色々特徴があるなと。
最近の上場準備会社の話を聞くと、上場審査の際には何かと大手がいいかなと思うけど、上場した後は、監査法人や監査の質の観点からも大手に限らず、その他の法人も十分に検討のテーブルに載せた方がよさそう。

 

調べた対象

2017年に上場して会社のうち、自分が興味ある会社をピックアップ

 

 

 結果

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売上高(連単)、監査報酬、監査法人がどこかを軸に調べて見た結果、上場後のまもない頃の監査報酬としては、ざっと見る感じでは12Mから15Mくらいがボリュームゾーンかなと。

そこから外れている会社は連単比率が高い会社であったり、そもそも事業規模が大きいなどの事情がありそう。
ただ時価総額は当然だけど全く関係なさそう。PKSHAがかなり安くてびっくりした。これはおそらく監査法院が戦略的に取りに行ったのかな。自分も経験してたけど、ビットで監査法人を決められると結構きつい。。

次に売上高(連結のところは連結数値、単体のところは単体数値)と監査報酬のバランスをみてみた。

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概ね比例するかなーと思ってたけど、実はあまり関係なく、相関係数は0.27しかなかった(色々な諸条件を無視しているし、n数も少ないからまぁ当然っちゃ当然)

次に監査法人ごとにどんな特徴があるかみてみた。

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上のグラフからわかるのは、EYについて異常値になっているケースが複数あって、重要クライアントとして値下げをしているのかなと推測。

あとは大手以外の監査法人の報酬は少ない。パートナーが絡む工数とか計画を立てる工数など、理由は複数あると思うけど、こうなってくると上場後大手を選ぶ理由はあまりないのかな。

M&Aとかやるときは別途契約をそういう部署と結べばいいので。

あと気になることは、やはり被監査側の事業会社が監査報酬を出さなければいけないところ、あと納得感がないタイムチャージベースが基本になっていること。ここから調整値引きをこれだけ入れましたと言われても、それは事業会社への理解がないだけだよなとしか思えない。