craigslist(クレイグスリスト)について調べてみたよ
きっかけ
2/7に発表されたメルカリのFY19Q2の決算資料で、毎回挿入されている以下の資料が気になったのがきっかけです。この中のcraigslist(クレイグスリスト)について、よくわかっていないなと思ったのがきっかけで書いてみました。メルカリ自体についても、UI/UX戦略やマーケ戦略、提携戦略など非常に興味があるので、また別に調べてみたいと思います。
craigslist(クレイグスリスト)について書く前に、そもそもクラシファイドが何かと言うと、
クラシファイド(classifieds) とは、目的や地域によって分類された募集広告や告知を、一覧形式で掲載する広告媒体。
企業などによる一般的な宣伝広告とはことなり、個人を中心にだれでも手軽に広告掲載できることが多く、広告掲載料は無料もしくは安価で、原稿作成も自由で単純なことが多い。日本では、新聞、フリーペーパーなどの紙媒体で「三行広告」「案内広告」「文字広告」などとして使われてきた。インターネット上のクラシファイドサービスでは、検索機能を加えた形式が一般的。(Wikipedia参照)
つまりECサイトではなく、広告媒体であり、収益源は広告収入になっています。ではなぜメルカリが米国の競合先としてとしてクラシファイドに区分されるcraigslist(クレイグスリスト)を上げてきたのでしょうか。それはモノの売買においてアメリカ特有の文化があって、今後メルカリはこの文化レベルで利用意向などを変えないと、アメリカでの成長が見込めないためではないかと思っています。
craigslist(クレイグスリスト)の概要
毎月20億ページビューを超えるアクセスがあり、毎月8000万件以上の広告が投稿されている。クラシファイドを扱うどの分野においても最大手であり、毎月200万件以上の求人広告が登録される世界最大手の求人サイトの一つでもある。[3][4] 2011年10月までにクレイグスリストに登録されたアメリカ国内23都市のページにおいては、"販売"と"不動産"のセクションだけで一日あたり30万人以上の投稿を受け取っている。 創業以来、デザインの変更などはわずかであり、最小限のCSSとJavascriptを用いたサイトの構成はとても単純である。求人、不動産、出会い、個人広告、ギグ、履歴書、会議などのフォーラムがある。(Wikipedia参照)
アクセス数などをランキングしてくれるSimilarWebで調べてみたところ、グローバルランク45位、米国でのランクが14位でトラフィック概要が19年の1月時点で、
- 月間200億近いPV
- 検索の99%がオーガニック
という感じでした。
本社はこんな感じ。
craigslist(クレイグスリスト)は、1995年にクレイグさんが作ったサイト。日本向けのページもできています。
2019年のサイトとしてはかなり古いUIで、これが本当にあのトラフィックを生み出すサイトなのか若干疑いたくなりますね。
収益も6.94億米ドル、日本円で760億円くらい。一方で従業員数は2017年時点で50名という、超高生産性企業。すごいな。
craigslist(クレイグスリスト)の成長した理由
アメリカ文化との合致
クレイグスリストでは、決済機能も配送機能もありません。これは実際に対面であってやりとりを行うため、そのような機能が必要ないような設計になっているためです。そのためエスクロー決済もないし、会う場所によってはトラブルの元にもなっているのが実情です。
ただ、アメリカは信用社会であり、これが根っこの部分で本当にうまくマッチしているんだなと思っています。そもそもアメリカではガレージセールが頻繁に行われていて、自分もホームステイしていた時に、ステイ先の家族と近所のガレージセールを回ったこともありましたが、そこでは現金のやりとりで行われていました。今ではキャッシュレスでやりとりもしているんだろうな。
ガレージセールが成り立っていれば、craigslist(クレイグスリスト)がここまで成長するのもすごくわかりやすい。craigslist(クレイグスリスト)では、地域別にページが別れているから、自分の近所を検索するのが非常にやりやすい。そのため、あそこまでシンプルなページでいいっていうのが、すごく割り切った考え方で好きです。
ネットワーク外部性
プラットフォームの場合、このネットワーク外部性が効くかどうかが成長のドライバになるけど、craigslist(クレイグスリスト)の場合は容易にこれが効いていることがわかります。
ネットワーク外部性とは、ある財・サービスの利用者が増加すると、その財・サービスの利便性や効用が増加すること。例えば、電子メールや携帯電話などネットワーク型のサービスを利用する人が増えると、より多くの相手と連絡をとれるようになり、便利になる。(Wikipedia参照)
craigslist(クレイグスリスト)で何かを買った人は、もしそれが不要になった場合には同じくcraigslist(クレイグスリスト)で売却すると思います。そうすることで、購入者と出品者の循環が起こりやすい。そうすることで指数関数的に利用者が増えていったのかなと。
バーティカル展開
現在のcraigslist(クレイグスリスト)は大きくカテゴライズすると、コミュニティ・サービス、ディスカッションフォーラム・住宅・売却・ジョブ・ギグ・履歴書の8個のカテゴリーから構成されています。この中にさらに細分化したカテゴリーがあり、例えば、売却であれば46ほど小カテゴリーがあります。
このカテゴリー間のクロスセルがcraigslist(クレイグスリスト)の成長の秘訣なんではないかと思っています。ただ今後はこの小カテゴリー毎に、事業者がどんどん参入してきているから、そこと戦いながら今の地位を維持できるかは正直よくわからりません。
なぜなら、現在Googleの検索にしてもMFI(モバイルファーストインデックス)が適用されていて、SEO的にモバイルページが評価対象とされています。craigslist(クレイグスリスト)の場合、モバイルファーストではないから、こういうところから徐々に新規参入プレイヤーにカテゴリー単位でシェアを奪われていくのではないかと思っています。