プラットフォームビジネスはなぜ、ここまで成長してきているのか。ポイントはコア取引の円滑にする仕組み
紹介する本
プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか
- 作者: アレックス・モザド,ニコラス・L・ジョンソン,藤原朝子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/02/07
- メディア: 単行本
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気になったポイント
直線型のビジネスからプラットフォーム型のビジネスへ
直線的なビジネスが新しい顧客を獲得すると、商品またはサービスの買い手が一つ増えるだけ、つまり新しい関係が一つ加わるにすぎない。だが、プラットフォームに新しいユーザーが加わると、そのユーザーはたった一つの関係だけでなく、そのプラットフォームにすでにいるユーザー全員との関係を構築する。つまりプラットフォームは直線的ではなく、指数関数的に成長する。
メルカリにしても最初は購入者として利用していても、自ずと出品者として出品するようになると思う。通常のECサイト、例えば楽天みたいな形だと購入者と出品者を双方買うとくし続ける必要があるけど、プラットフォームの場合、どちらか片方を獲得することで、クロスセルしていく傾向があるので、集客戦略が大きく異なっていく。
プラットフォームは取引を円滑化することによって、価値を創造する。直線的なビジネスが、商品やサービスを作ることで価値を生み出すのに対して、プラットフォームはつながりを作り、取引を「製造する」ことで価値を生み出す。GMは自動車を作るが、ウーバーはドライバーと乗客の取引を作る。ただし輸送そのものをするのではなく、ドライバーと乗客のつながりと、両者間の価値交換を円滑化する。
プラットフォームの魅力が強まることで、マッチング機会の増加していく。これによって購入者・出品者双方ともに満足度が上がっていく。プラットフォームは一般的にWiiner Takes Allといわれているが、これは一番マッチング機会が多いところをユーザーは好んで利用していくためである。
コア取引はプラットフォームにより異なる
消費者とプロデューサーが価値交換のためにしなければならない一連の行動のこと。どんなプラットフォームでも、コア取引は創造する、結びつける、消費する、対価を支払う、の四つの基本ステップを踏む。
コア取引の選択を間違えると当然そのプラットフォームはスケールしない。GAFAのいずれも徐々に機能が増加していくのは、その理由によるものである。まずそのプラットフォーム特有のコア取引があり、そこから徐々に機能が増えていく。例えば、最初からSNS機能があったとしても、取引機会がなければ全く意味がない。
価格決定はプラットフォーム側が決めるとは限らない
コモディティー化されたサービスのマーケットプレースは、プラットフォーム側が価格決定を担うべきだ。この種のサービスを仲介するハンディー、リフト(Lyft)、グラムスクアドのプラットフォームを見ると、シームレスなマッチングは、透明性の高い価格決定によって確保されることがわかる。タスクラビットはコア取引の円滑化に失敗したため、ハンディーのような後発業者に抜かれた。ハンディーは価格決定や発注プロセスの円滑化を重視した設計になっていた。その結果、優れたユーザーエクスペリエンスとシームレスな取引モデルが確立されて、全米最大の家事代行サービスマーケットプレースに成長した。
日本でもメルカリは自由に価格を決めることができるが、ココナラではある程度運営が決めた価格内においてのみ、プライシングが可能である。なんとなく、理由は分かっていたけど、上の記載で完全に腹落ちした。
ネットワーク効果がもたらす究極のインパクトは、取引件数の増加だ。ウーバーの場合、ネットワークが大きくなると、運賃を下げ、待ち時間を短くできる。(一般のタクシーより) 運賃が安くても、ユーザーからの需要は高いから、ドライバーはタクシーの運転手と同じくらいの儲けを得られる。ドライバーが増えると、消費者の待ち時間は短くなるから、ますます気軽にそのプラットフォームを使うようになる。
プラットフォームの手数料、日本は徐々に下げてる会社が多い印象(minneは違ったけど)だけど、海外は徐々にあげるイメージがある。Etsyとか。
— とりてん (@toritenxx) 2019年3月1日
自分の中ではテイクレートをあげるロジックについて、いまいち納得度がなかったけど、結局のところ、取引件数の増加についてどのような戦略を取るかによって、異なってくるんだという理解をしている。
まず手数料率を低くすることで取引件数の増加を狙い、コア取引を円滑にする手法もあるし、まずは手数料率を高くすることで、マーケコストに配分を増やして集客を強めて、手数料率が高いながらも、参入プレーヤーの増加を促すことで、取引件数の増加を図っていく方法もある。
最後に
プラットフォームは今後増加していくサービス形態であり、そこに参画しているかに関わらず、本書は必読だと思う。
具体例も非常に豊富で読みやすく、またサービス自体も身近に感じることができるため、抽象化、具体化も非常にやりやすい本である。