とりてんブログ

スタートアップで経営企画として事業提携などを担当しています。自分が読んで気に入った本・漫画の共有や国内スタートアップの分析、投資に関して書いていきたいと思います。

「予想通りに不合理」は全マーケター必読です!

紹介する本

「現金は盗まないが鉛筆なら平気で失敬する」「頼まれごとならがんばるが安い報酬ではやる気が失せる」「同じプラセボ薬でも高額なほうが効く」―。人間は、どこまでも滑稽で「不合理」。でも、そんな人間の行動を「予想」することができれば、長続きしなかったダイエットに成功するかもしれないし、次なる大ヒット商品を生み出せるかもしれない!行動経済学ブームに火をつけたベストセラーの文庫版。

これはかなり面白い本でした。経済学では人間誰しもが合理的は判断による行動することが前提となっていますが、実際の人間はそうではないことを豊富な事例で説明している本です。MITやハーバードの優秀な学生が実験対象となっていて、そんな行動しないよなっていうことを普通にやっているのも、また行動経済学の理解が深まる要因になっていて、非常に読みやすかったです。

全部で496ページですが、おおよそ4時間くらいで読み終わりました。

以下気になったポイントについて書いていきます。

気になったポイント

人間は相対性で判断する
相対性は人生における決断を助けてくれる。けれども、わたしたちをとんでもなく 惨めな気持ちにさせることもある。なぜだろう? 嫉妬やひがみは、自分と他人の境遇を比べるところから生じるからだ。
ありがたいことに、わたしたちは自分のまわりを取り囲む「輪」の大きさを選べる場合がある。小さい輪が集まっているほうに移動すれば、相対的な幸福感は大きくなる。同窓会に出席したとき、真ん中で飲み物を手にして高給を自慢している「大きい輪」がいたら、あえてそこから離れて、だれかほかの人と話す。新しい家を買うつもりなら、見にいく物件をふるいにかけて、分不相応な物件ははずしておく。新車を買うなら、手ごろな価格のモデルだけを検討する、といったぐあいだ。

 これはすごく実感値としてもしっくりくる話でした。

自分はスタートアップで勤務していることもあり、給料面では前職と比較するとかなりのダウンで入社していましたが、比較対象をどこに置くかで気持ち的な余裕さが全然違ってきます。もっと早く読んでいればよかった・・・

自分が繰り返ししている行動に疑問を持つよう訓練すべき

最初の決断の持つ力は、その後何年にもわたって未来の決断に影響を与えるほど長くあとを引くこともある。これだけの効力をもつのだから、最初の決断はきわめて重要であり、十分な注意を払うべきだ。

当たり前のように繰り返していることであっても、それが本当に合理的な判断なのか。誘導されている決断なのではないかという点について 、思うところが色々ある説明でした。

先延ばしの問題と自制心 なぜ自分のしたいことを自分にさせることができない

最善の策は、人々に望ましい行動の道筋をあらかじめ決意表明する機会を与えることではないかと思う。この方法は独断的な扱いほど効果的ではないかもしれないが、正しい方向に押しだす助けにはなる(おそらく、事前に決意表明をする練習をさせ、自分で締め切りを設定する経験をつませれば、もっと助けになるだろう)

決意表明により自ら今後の行動を律していくのは非常に重要な手段だと思います。最近スタートアップ界隈でよく話題に上がるOKRもこれと似たような機能を持っていて、ぎりぎり達成できる目標をセットすること=行動の道筋を事前決意表明することにつながり、さらに四半期ごとなどの定期的に振り返り、見直しを行なっていくところが、まさに該当するなと考えながら読んでいました。

決断しないことによる影響

選択の自由の何がこれほどむずかしいのだろう。たとえ大きな犠牲を払ってでも、できるだけ多くの選択の扉をあけておかなければならない気がするのはなぜだろう。わたしたちは、なぜはっきりした態度をとることができないのだろう。

自分の価値観では、Facebook創業者の名言「Done is better than perfect」がすごく好きで考えている時間があったら細かくトライ&エラーを繰り返してやりきることが、重要だと考えています。

これは上で説明している決断しないことによる影響を加味して判断を行う上で欠かせない価値観だと思います。

まとめ

さくっと読める本であるにも関わらず、数多くの興味深い分析がなされていて、すごくオススメの本です。マーケターなど必読の本ではないでしょうか。

とりあえず自分の会社のメンバーにはこの本をオススメしていこうと思います。